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2021

優秀賞

森元愛梨

プログラミング的思考を深めるためのSCRATCHを用いた正多角形描画を題材とする授業の考案,実践及び考察

概要

本研究では,文部科学省が解説している「正多角形をプログラムを使ってかく」という授業を参考にし,よりプログラミング的思考を育成するための正多角形を描画する授業を考案することにした.事前・事後アンケート及び,授業後の感想を基に,児童の授業への学習意欲やプログラミングへの興味関心が高まっているか,図形の内角や外角の理解が深まっていて,反復処理を論理的に活用するプログラミング的思考を育成することができているか,タブレットやプログラミングを取り入れることで,授業での学習意欲の向上効果があるか,主体的・対話的で深い学びの授業の実現ができているかを考察した.
その結果,反復処理の考え方を理解することができていたことから,プログラミング的思考を育成することができていたといえる.また,タブレットを用いたことで,学習意欲の向上もできた.しかし,正多角形の内角や外角の大きさを求めるといった数学的思考の部分のつまずきが大きいことが明らかとなった.内角と外角の理解を深めることはできたが,確実な定着に導くことが課題となった.

担当教授からのコメント

福田 光一
本研究では,正多角形の性質の理解を深めるとともにプログラミング的思考を養う授業の考案に取り組んでいる.
小学校5年生の算数の単元「正多角形と円」では,定規と分度器を使って正多角形を作図する方法を理解した後,その応用としてプログラミングによる正多角形の作図を試みている.
多くの授業は学習指導要領で例示されている指導案どおりに行われているが,本研究では例示されている指導案では利用していないScratchの命令も使い,問題を解決するためのプログラムは一通りではないことへの気づきの獲得も目指している.
本研究で考案した授業は,小学校の5年生19名を対象に算数の時間1時間と総合的な学習の時間1時間を利用して行われた.
授業の事前・事後のアンケートからは,本研究で考案した授業を通じてプログラミングに興味を持つとともに,算数の授業への興味も高まっていることが確認できる.
課題はいろいろと残されているが,小学校でのプログラミング教育の実践として有益な事例でもあり,ここに推薦する.
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