FACULTY

教員紹介

篠原 聡 SHINOHARA Satoshi

離散数理研究室

組合せ論や有限幾何とそれらの符号の構成への応用

専門分野

  • 組合せデザイン論および有限体上の代数幾何学とそれらの応用

研究テーマ

組合せデザイン
組合せ配列
光直交符号
認証符号
有限幾何・代数幾何

組合せデザインとは

「3 人組で対戦するゲーム(ダイヤモンドゲームなど)を7人で遊びたい。皆が公平に対戦(どの人も自分以外の人と必ず 1 回ずつ対戦)する組合せを考えなさい」というような問題は、離散数学の分野で組合せデザインと呼ばれています。このような組合せデザインは、どのように構成できるのでしょうか?

有限射影平面と組合せデザイン

7人を右図の各頂点にとり、ラインを対戦する組と考えてみましょう。どのラインにもちょうど3つの頂点が含まれ、どの2つの頂点もちょうど1つのラインに同時に含まれていることがわかります。このような組合せ構造は位数が2の射影平面(Fano 平面)と呼ばれています。ちょうど上の問題の答えになっていますね!

差集合

では次に7人の人を 0 から 6 の数で表現してみましょう。対戦する組は 3 つの数の集合として表すことができます。{0,1,3} という集合の各要素に1ずつ加えていくと、新たな集合が巡回的に生成されていきます。これらの集合も上の問題の答えになります。ここで、{0,1,3}という集合は、法 7 の下で2つの要素の差を考えてみると、1 から 6 のすべての数がちょうど 1 回ずつ出現しており、差集合 (difference set) と呼ばれる代数的性質を持つ集合となっています。

実験計画法

組合せデザインは、他の数学理論と同様に、社会の様々な場や学問分野において、応用利活用されています。例えば、実験計画法もその一つです。 実験計画法は、実験によってデータを得る方法を事前に計画する統計的手法です。例えば、農業実験で小麦の7種の品種の収量を比較したいとします。広大な農地に適当に植えて、収量を測るのでは、日照条件や土壌条件がそろわず正確な判断が下せません。そこで農地を7つのブロックに分け、さらに各ブロックを 3 つのプロットにわけ品種を作付けします。この割り付け方に上述の集合を用います。各ブロックごとに環境条件が圴一になるように管理すると、収量に与える品種の効果を効率的に推定することができます。

光直交符号

組合せデザインの応用として、符号や暗号といった情報通信を支える理論があります。光直交符号は、光ファイバー通信において重なり合った光信号から自分宛の信号を取り出すといった事を実現する符号です。射影平面上の曲線を用いて、光直交符号を構成する方法を、篠原らが発見しました。