「説明」はもう古い!? 学習者が自ら探求して,他者との意見を比較して学ぶ時代へ

プログラミングや数学,自然科学全般においては,自分で手を動かして現象を観察し,その現象から読み取れることを仮説として立て,その仮説を検証し,他者に発表を行うことで新しい発見が得られます.この探求の流れをすべての授業において導入することを目指しています.なるべく説明を教材中に入れず,現象の振る舞いを学習者が自ら推論させるような手法を検討しています.理解したことを自分の言葉で記述を行い,他者に説明を行うことによって,教授者や受講者同士でも異なる意見や解釈の仕方を複数見ることができ,理解の幅を広げることも期待され,学習効果が高まると考えられます.本研究では,そのための教材の設計や学習支援システムの開発をしています.

「説明しない教材」の開発

プログラミング学習においては,コンピュータを一種の「対話の相手」としてみなすことができます.学習者が書いたコードは実行すればすぐに結果を確認でき,学習者はその結果からプログラムの振る舞いについて推測ができます.そこで,なるべくプログラムの振る舞いを説明せず,プログラムの要素を少しずつ増やしながら,プログラムの例と出力結果を交互に示しながら学習が進められる教材を開発しています.

書き出しを支援するシステム

「説明しない教材」では,学習者はコンピュータの振る舞いを推測しながら学習を進めます.推測したことを周囲の学習者に書き出して共有することで,他者の推測との違いを見比べることができ,深い学びにつながっていきます.そのため,他者との違いが生まれるような書き出しの支援システムを開発しています.このシステムは,自分が書き出しをするまでは他者の書き出しがわからないという特徴をもっています.

ログを用いた,学習者の行動分析

「説明しない教材」「書き出しを支援するシステム」で行った活動はすべてログとして記録され,このログを分析することで,学習者が理解していること,していないことを分析することができます.途中でつまずいている学習者に自動的にアドバイスを行える仕組みの実現を目指しています.