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藤田 凌

逆翻訳を用いたFew-shot学習によるキャラクター性が現れた台詞への変換

概要

近年,日本のサブカルチャーにおいてアニメやゲームは非現実的な要素や個性豊かなキャラクターによって人気を集めている.特にキャラクターの個性的な発話は作品の魅力の一翼を担っており,作品ごとに異なる個性を持った数多くのキャラクターが登場する.本研究では大規模言語モデルを用いて,ユーザーが入力した文章を指定したキャラクターのような台詞に変換する手法を提案する.これにより一般的な文を特定のキャラクターのような発話に変換することができるようになる.
研究の目的は大規模言語モデルを利用してユーザーが入力した文を指定したキャラクターの特徴に合った台詞に変換することである.具体的な手法として few-shot 学習を採用し,キャラクターの台詞と機械翻訳による逆翻訳を一般的な文とした入出力のペアをプロンプトの事例として用いる.手法を選択する際の予備実験の結果を踏まえ,文字数の多い台詞を学習に使用する.
実験結果では,プロンプトに使用した台詞の特徴がしっかりと反映され,学習していない一人称が出現しなくなるなど,良好な変換結果が得られた.さらに,BLEU による評価でも良好なスコアが得られ,ユーザーが期待するキャラクター性を持つ台詞の生成が可能であることを示した.

担当教授からのコメント

横野 光
本研究は,大規模言語モデル(LLM)であるChatGPTにアニメやゲームのキャラクターの発話の特徴を学習させ,普通の文をそのキャラクターが話しそうな台詞に変換するモデルを提案している.発話者の個性が言語表現のどのような要素に表れるかに対する言語学の知見をどのような形でLLMに学習させれば良いか,また,実際にどのような要素がLLMでの学習に寄与するかを分析しており,うまく特徴を利用することで短い台詞であっても効果的に変換が可能であることを示している.
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