Scientism?! コンピュータと数理でどこまで芸術的な曲が書けるか

昨今、コンピュータを用いた音楽制作は昨今のAIブームで自動作曲が話題となっています。しかし、自動作曲は1957年にイリノイ大学で開発されたプログラムで作られた「イリアック組曲」に始まります。その後、クセナキスらがコンピュータや物理法則に基づいて作曲を行ったりするようになり、アルゴリズム作曲という手法が現れました。科学による作曲法を探るべく(Scientism)、脳波や体の動きをセンサーで読み取ったり、数学や物理の理論をコンピュータで処理して芸術作品を生成する研究をしています。

黄金比で調弦するとどんな音?(黄金比によるメロディとハーモニー)

普段、私たちが聞く音楽(西洋音楽)は、2500年も前にピタゴラスが見つけた12音からなる音律(つまりドレミ)で作曲されています。しかし、それ以外の音階で音楽を作ったらどうなるのでしょう?
例えば、ヴァイオリンのチューニングはE-A-D-Gの五度の音程で調弦されますが、これを黄金比による音程にしたらどんなハーモニーになるか? 新たな調律法とサウンドの試みです。
この動画は黄金比調律による弦楽四重奏曲「5つのバガテル」という作品です(2019年、SQ:グリーンルームプレイヤーズ)。

脳波で音楽をつくる!

脳波計を人の頭に装着!昼寝をしたりケーキを食べたり、風船が割れたりくすぐられたりいろいろハプニングが起きます。その時の脳波をもとに、プログラムがリアルタイム&自動で音符と映像を生成します。奏者はその音符を瞬時にみてアドリブで演奏する、といった作品。
Brain Motion for shakuhachi and cello 尺八:黒田鈴尊、チェロ:作者(2018)
脳波をMUSEという脳波測定器を使って取得しProcessingとMax/MSPでビジュアル化&可聴可したマルチメディア作品です。

カオスで音楽を生成する

カオス=ぐちゃぐちゃというイメージがありますが、実はカオスとは意外と簡単な式で書かれる関数なのです。ただし、初期値をほんの少し変えるだけで、様々な図形や音列を出力する不思議な関数です。コンピュータ・プログラムでカオスを出力する関数(代表的なロジスティック写像)を計算して、その結果をもとに音符に変換して音楽にしました。こういった複雑な音楽は電子ピアノやコンピュータなら再生・演奏が可能となります。