本研究では,プロ野球の埼玉西武ライオンズ (以後: 西武) について,試合の節目ともいわれる 7 回守備 (以後: ラッキーセブン) が危険な場面であることを検証した.
まず,西武の試合における各アウトや走者状況について,失点警戒値を算出した.その結果,1 死 3 塁や 1 死 23 塁など,1 死の多くの場面で値が大きくなっていた.どの場面の 1 死で失点が多くなるかを知るため,各イニング 1 死における被安打数,与四死球数,及び被安打後の勝率を調べた.その結果,被安打数と与四死球数の双方で,7 イニング目が最も多くなっていた.被安打後の勝率も,7 イニング目が試合で最も低下していた.つまり,ラッキーセブンの 1 死の場面では,被安打や与四死球によって,点が取られやすくなるといえる.特に前者は,試合で用いられる確率が後者よりも非常に高かった.また,7 回 1 死で登板した選手の中で,被安打確率が比較的高かった投手は,田村投手と十亀投手であることが判明した.投手ごとに 7 回 1 死の場面で登板した際の投球位置を調べた.その結果,田村投手はチェンジアップを投げた時に,十亀投手はカットボールを投げた時に見逃しや三振で抑えていることが分かった.田村投手はチェンジアップを,十亀投手はカットボールを伸ばすことで,より失点や出塁を抑えられる可能性が高まる.
本研究を通して,西武のラッキーセブンは特に被安打による出塁や失点が多いことが分かった.各投手の得意な球種を伸ばすことが,今後のラッキーセブンにおける失点率の低下や,西武の勝率向上につながると考えられる.
担当教授からのコメント