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2023

優秀賞(プレゼンテーション賞)

小林 楓佳

⻄武投手におけるラッキーセブンの危険性

概要

本研究では,プロ野球の埼玉西武ライオンズ (以後: 西武) について,試合の節目ともいわれる 7 回守備 (以後: ラッキーセブン) が危険な場面であることを検証した.
まず,西武の試合における各アウトや走者状況について,失点警戒値を算出した.その結果,1 死 3 塁や 1 死 23 塁など,1 死の多くの場面で値が大きくなっていた.どの場面の 1 死で失点が多くなるかを知るため,各イニング 1 死における被安打数,与四死球数,及び被安打後の勝率を調べた.その結果,被安打数と与四死球数の双方で,7 イニング目が最も多くなっていた.被安打後の勝率も,7 イニング目が試合で最も低下していた.つまり,ラッキーセブンの 1 死の場面では,被安打や与四死球によって,点が取られやすくなるといえる.特に前者は,試合で用いられる確率が後者よりも非常に高かった.また,7 回 1 死で登板した選手の中で,被安打確率が比較的高かった投手は,田村投手と十亀投手であることが判明した.投手ごとに 7 回 1 死の場面で登板した際の投球位置を調べた.その結果,田村投手はチェンジアップを投げた時に,十亀投手はカットボールを投げた時に見逃しや三振で抑えていることが分かった.田村投手はチェンジアップを,十亀投手はカットボールを伸ばすことで,より失点や出塁を抑えられる可能性が高まる.
本研究を通して,西武のラッキーセブンは特に被安打による出塁や失点が多いことが分かった.各投手の得意な球種を伸ばすことが,今後のラッキーセブンにおける失点率の低下や,西武の勝率向上につながると考えられる.

担当教授からのコメント

佐藤 浩志
「好きこそものの上手なれ」というが、本人が好きなプロ野球球団である西武ライオンズが常勝軍団になってもらいたいという想いから、3年生の時から積極的にベイズ統計学や主成分分析を勉強しながら、多くの分析を重ねてきた。プログラムによるデータ抽出、処理を実施することで大規模データと向き合いながら、独自の視点の結果を導き出している。コンペティションのポスターセッションにおいても、閲覧者・質問者へ丁寧に回答しており、更には審査会でのプレゼンテーションの完成度、伝えたい点などの明確化において、プレゼン賞の受賞にふさわしい研究である。
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