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薗田 彩名

画像認識技術を用いたリミナル・スペースに関する違和感の分析

概要

リミナル・スペースと呼ばれる空間を写した画像は,人に不安感や違和感を覚えさせる画像として 2019 年の 5 月ごろからネット上で流行し始めた.本研究ではリミナル・スペース画像を AIを用いて識別を行い,検証実験全体を通してリミナル・スペースがもつ共通の特徴や,人が何に対して違和感を感じているのかを視覚的に説明できることを今回の研究目的とする.まずはじめにリミナル・スペースを機械学習により自動認識するため,リミナル・スペースの画像データセットを構築した.構築したデータセットの画像枚数は約 1,500 枚である.また,畳み込みニューラルネットワークを用いて,リミナル・スペースかそうでないかの識別モデルを学習して評価を実施した.評価の結果,識別率は約 90% 以上となり,リミナル・スペースとリミナル・スペース以外の空間の画像を高精度で識別できることがわかった.さらに,リミナル・スペースと判断された画像群に対し,どこを見て判断したのかを明らかにするため Grad-CAM を用いて可視化した.本研究では,まず,リミナル・スペースの画像を収集し,畳み込みニューラルネットワークを用いてリミナル・スペースかどうかを認識するモデルを作成した.学習済みモデルに対して,さまざまな画像を入力することによる数値の変化から,リミナル・スペースがもつ違和感の要因を探る.入力画像として使用される画像は、人物や物体を加えたり、彩度を落としたりする前処理が施されている。実験の結果,リミナル・スペースの違和感の要因として人や物体の有無が深く関わっているという結果を得た.

担当教授からのコメント

植木 一也
この研究では、リミナル・スペースと呼ばれる人に不安感や違和感を覚えさせる特定の空間を機械学習を用いて分析するという新しい試みを実施した。まず、インターネット上からリミナル・スペース画像を収集してデータセットを構築し、畳み込みニューラルネットワークによって認識モデルを作成した。この認識モデルを用いてGrad-CAMによりリミナル・スペース画像の特徴を可視化し、画像処理により画像を変化させることで、人や物体の有無がリミナル・スペースの違和感の要因として関与していることを明らかにした。この研究では、多くの実験により根拠を示しており、国内外の学会での発表実績もあることから、佳作として推薦する。
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